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コンクリート表面の景観向上技術

 

コンクリート表面の景観向上技術

コンクリート表面の景観向上技術
 
㈱大林組技術研究所
土木第三研究室
室長十 河 茂 幸
   
1.はじめに
 美しい公共土木施設の整備により、コンクリート構造物の分野においてもシビックデザインが一般化している。美観に優れたコンクリート構造物やそれらを含 む景観設計が、質の高い社会資本整備の一環としてあたりまえのように実施されるようになった。従来打ち放しコンクリートの表面は、型枠の模様がそのまま 残った素っ気ない仕上がりであるのが普通であったが、近年のコンクリート構造物は、トンネルの出入り口、公園などに利用されるコンクリート構造物の表面、 コンクリート擁壁の表面など、人の目に触れやすい所の多くにはなんらかの模様が施されるようになった〔写真-1、2〕。そのため、コンクリート表面の模様 の形成方法も多種多様となり、その技術も向上している。ここでは、コンクリート構造物の景観向上技術のうち、テクスチヤー形成技術、骨材の洗い出し技術な どの幾つかを紹介する。
 
 
〔写真-1〕但東トンネル入口・但東町(大林組施工)
 
〔写真-2〕名古屋東急ホテル(大林組施工)
   
2.景観向上技術の目標
〔図-1〕美しいコンクリート構造物の概念
 コンクリートは、型枠さえ作れればその形の通りに自由な形に仕上がる。また、結合材と骨材を組み合わせた複合材料であるため、骨材をうまく表面に出すこ とによって、それ自体で個性的な表面仕上げとなる。このように、コンクリートは、その形態だけでなく、表面の肌合いや、色などによって周辺環境と調和した 構造物を目指さねばならない。さらに、〔図-1〕に示すようにこれらの美観に係わる要素の経年変化が少なく、経済的な表面形成技術であることが望まれる 1)。
 
3.凝結遅延シートによる  コンクリートの骨材洗出し技術
〔写真-3〕特殊凝結遅延シートによる洗い出し コンクリート表面仕上げ
 コンクリート構造物の築造に際してできる鉛直打継ぎ面は、水平面と比べてグリーンカットなどの容易な表面処理が困難であり、チッピングなどにより手間の かかる表面処理を余儀なくされていた。これに対して凝結遅延性のシートを用いることによって、脱型後に洗い出し処理が可能な工法が開発されている2)、 3)。このシートは、雨水などではシートに施工された凝結遅延剤が流されず、セメントのアルカリによって溶け出す。かつ、その遅延効果は長期間継続するた め、脱型が1ケ月程度後になっても、コンクリート表面は洗い出させるのが特徽である。
このシートを用いれば、特殊な骨材を用いたコンクリート鉛直表面を長期間型枠在置後においても容易に洗い出せるほか、〔写真-3〕に示すように、シート の貼り方によって、模様を形成することも可能である。シートの貼付の有無でその境界線が明際にわかり、比較的複雑な模様をつくることも可能である。
 
4.ウォータージェットによる   壁面彫刻技術
〔図-2〕ウォータージェットによる壁面加工システムの概要
 コンクリート壁面にデザイン彫刻を施すには、熟練者が手掘りするには手間がかかり、型枠による方法で個性のあるデザインをつくるにはコストがかかる。ま た、レーザーなどの機械加工は、作業工程が複雑で壁面に亀裂、損傷、変色などが生じるなどの問題がある。ここで紹介するウォータージェットによるデザイン 彫刻技術は、研磨材の入った超高圧水を用い、ジェット噴射の圧力でコンクリート壁面や石材などに彫刻を施すものである。 コンピューター制御により、極細かい線形でデザインだけでなく、微妙な凹凸も表現できるので、絵画や、個性のあるデザインなど原画に忠実に形成することが 可能である。〔図-2〕、〔写真-4〕に示すように、一連の作業は全てコンピューター化されているため、極めて短期間で加工できる。〔写真-5〕は、ステ ンドグラス模様を施した加工例である。
 
〔写真-4〕ウォータージェットによる壁面加工状況

〔写真-5〕ウォータージェットによる壁面加工例
(典型的なステンドグラス模様を表現
   
5.プラスチックシートによる

 コンクリート表面模様形成技術
コンクリート表面のテクスチヤー形成には、発泡スチロール、合成ゴム、金属などの型枠材料が用いられることが多い。しかし、これらの方法は施工性、コス トあるいは、転用性などの点で改善すべき点も多かった。プラスチックシートによるテクスチヤー形成技術としては、コンクリートとの剥離性、加工性、取扱 い、リサイクル可能な点など利点が多い1)、4)。プラスチックシートは、食品などに利用されている簡易容器などと同様の方法で作成され自由度が高いが、 コンクリートに利用するためには、側圧に対する剛性が必要である。〔表-1〕にコンクリート用プラスチックシートの特徴を示す。施工の手順は簡単で、〔写 真-6〕に示すように、従来の型枠に両面粘着テープやステーブル、釘などを用いて取付けるだけで良い。プラスチックシートを型枠に用いれば、〔写真-7〕 (次頁)のごとく簡単に脱型ができ、小さな凹凸部分も綺麗に形成できる。

〔表-1〕プラスチックシートによるテクスチヤー形成技術の特徴

 

立体(模様)仕上げ一般 プラスチックシートを用いた場合

・意匠性
・明度、輝度の低下
・ひび割れが目立たない

・多様で美しい表面模様が可能
・計量で加工が容易
・燃焼焼却時に有毒ガスが発生しない
・表面養生材として使用可能
・数回の転用が可能
・従来工法に比べ安価

 
 
〔写真-6〕フラスチックシートの貼付け状況
 
〔写真-7〕フラスチックシートによるコンクリート表面形成(脱型状況)
   
6.PCa打ち込み型枠によるコンクリート構造物のデザイン
 コンクリート構造物の合理化施工、高耐久化を目的として、プレキャスト(PCa)コンクリート製の打込み型粋が徐々に普及している。プレキャストコンク リート製打込み型枠は、主として建築物の工期短縮を目的に適用されはじめたが、その段階では、仕上げを前提にしているため、PCa型枠自体の美観は問われ ていない。
一方、土木構造物では施工の合理化だけでなく高耐久化を目的として適用される。さらに、土木用のコンクリートは元来打放しを前提としているため、PCa 型枠自体の高い仕上げ性が要求された。土木用のPCa型枠は、未だ多くの実績をもつものではないが、施工性、耐久性のほか、美観向上も可能とあれば、さら に様々な構造物への適用が検討されるものと言えよう。〔写真-8〕は、海洋環境における大型構造物の実施例であり、施工性、耐久性および美観を求められた ものである5)。
 
7.おわりに
 

  景気低迷にも係わらず、公共構造物の打放しコンクリート表面は、何らかの景観が施されている。人間が物的要求でなく、心の豊かさを求めていることを象徴し ているものと考えられる。殺伐としたコンクリートジャングルに暖かさを与えるコンクリートの景観向上技術は、社会に定着したことにより、今後は、さらに磨 きをかけ、景観の耐久性についても求められるとともに価格競争へ進むであろう。ここで紹介した技術が何らかの参考となれば幸いである。

〔参考文献〕
1)平田隆祥・十河茂幸;プラスチックシートによるコンクリート表面のテクスチヤー形成方法、大林組技術研究所報、No.50,1995.

2)川島宏幸・平田隆祥・十河茂幸;凝結遅延剤を塗布したシートの鉛直打継目処理性能について、コンクリート工学年次論文報告集、Vol.18,No.1,1996.

3)川島宏幸・平田隆祥・十河茂辛・相原功;アルカリ可溶型凝結遅延シートによるコンクリートの骨材洗出し技術、大林組技術研究所報、No.55,1997.

4)十河茂幸・大山茂男・平田隆祥;プラスチックシートによるコンクリート表面のテクスチヤ形成方法、土木学会第49回年次学術講演会概要集、平成6年9月

5)金渾克義・十河茂幸;明石海峡を見る、セメント・コンクリート、No.611,Jan.1998.

 

 

〔写真8〕PCa型枠によって施工された明石海峡大橋1Aアンカレイジ

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