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公益社団法人
全国宅地擁壁技術協会
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第3回宅地擁壁技術講習会

 

『第3回宅地擁壁技術講習会』が開かれる

『第3回宅地擁壁技術講習会』が開かれる
 

 平成9年3月3日(月)10時30分~16時30分、アルカデイア市ヶ谷(私学会館)で標記講演会が約370名の参加を得て開催されました。主催 は㈱全国宅地擁壁技術協会、協賛は(社)日本宅地開発協会、㈱建設コンサルタンツ協会及び㈱全国土木コンクリートブロック協会、後援は建設省。開沼事務局 長の司会により長谷川会長の挨拶の後、下記のプログラム内容で進められました。

 

一特別講演-

 
《擁壁に加わる土圧と基礎について》

日本大学理工学部
教授 榎並 昭

    最近、擁壁に加わる土圧について見直そうという機運があるが、その傾向に水をかける話をしてみたい。1960年(S35年)に建築学会の基礎構造設計基 準(現在の指針)が改訂になったが、その土圧の事を担当し、改訂迄5年間かけ、土圧測定実験等苦労をした。実験を行っている時、主動土圧や受動土圧とは全 然違う数値が出て分布も違うものがあり、静止土圧によるものであることがわかった。静止土圧は動かないというだけでなく、壁に荷重がかかると変形する。弾 性体である壁は変形に対し戻ろうとして、逆に圧力がかかる。その変形に対応して土圧も変わることが感じられた。しかし土の場合には弾性体でないので不明確 になる。土圧係数を0.5と決めたが、実際にはそれ以上になる場合もあることを認識していただきたい。
    通常、擁壁は主動土圧を考え設計されるが、鉄筋コンクリートの断面である観点から、荷重による応力よりかなり多くの鉄筋が入っている。鉄筋がギリギリに 入っていると応力もギリギリになり、地震が起こると少し土圧が増えただけでも転倒することも考えられる。従って今迄事故がないからと言って、設計で土圧を 減らす方向に持っていくのには非常に心配に思っている。常時かかっているのは静止土圧だということも考えておく必要がある。
    次に壁が沈下した時に土圧がどう変わるかを調査した学位論文があり、その実験例を示して考えてみたい。壁が前、後、水平に沈下することにより土圧が増え ていることがわかる。基礎を充分に検討して沈下が起こらないようにすることが大切である。擁壁の基礎はそれほど立派にしないと軽く考えることがあれば注意 しなければならないと思う。
    一方宅造の場合にはL型擁壁、プレキャストの他に空積み造、練積み造等の一種の重力擁壁に近いものが多く使われている。これについては主動土圧と受動土圧の関係についても実験で示されており、それ程心配することがない結果が出ている。
    前例の学位論文では、壁が下部回転、上部回転、平行移動するときの水平土圧分布が推移されている。これを見ても基礎をしっかりしておかなければいけないことが痛感される。
    実際の擁壁の場合には鉛直のものはほとんどない。斜めの擁壁を設計するには重量と土圧との合力線を出し、中に入る場合は良いが外に出る場合には倒れるこ ともあり得る。すべり面を仮定し、自然の斜面のすべりに対する安定性の計算と同じことをする。しかしすべりを止めるのにももたれだけでなく基礎が大切。
    最後に、①擁壁の設計に当っては十分に余裕を持った鉄筋量にする。(L型擁壁はこの点で問題はない。)②基礎をしっかりして沈下を予防しておかないと設計で考えた荷重の状態と違う状態が起こることも考慮して施工する。この点を強調しておきたい。
    主動土圧でなく静止土圧を考え設計すれば良いとも言えるが、長年の方法で行ってきて事故も無いのに設計条件ばかり厳しくすることもないと考えられています。
 
《宅地防災行政について》

建設省建設経済局宅地課民間
宅地指導室課長補佐 岡本敦

    宅地造成規制法に基づく許可及び都市計画法に基づく開発許可制度において、一定の技術基準に基づく審査を行うことにより安全性の確保を図ってきた。平成 7年1月に阪神・淡路大震災が発生して、安全性の確保の重要性が改めて認識された。建設省では今回の被害の実態を踏まえて、次の通り防災行政を推進してい る。
1.宅地造成工事規制区域の指定要領(H.9.1.9通知)
    地域の開発動向等に応じ規制区域の見直しを行う。2.被災宅地危険度判定制度(H9.1.9.通知)
    大規模で広範囲な宅地災害状況調査を迅速に行う。
3.宅地防災マニュアルの改訂(今年度~来年度始め)
    新技術・新工法の活用に対する要望、環境に配慮した防災技術の活用等の必要性にも対応する改訂。「被災宅地の調査・危険度判定マニュアル(案)」(H9.1.9通知)等により来年度ブロック別に講習会を実施。
4.宅地擁壁の耐震技術に関する検討
    中地震では構造物の機能に重大な支障を生じず、大地震では人命に重大な影響を与えない設計目標。
5.宅地擁壁の補強技術及び景観技術の検討
    既存擁壁の耐震調査・診断、補強・改修方法の確立。石積み擁壁を中心に擁壁の景観技術の検討。
 
《建築基準法について》

建設省住宅局建築指導課
    課長補佐 井上 勝徳

    建設大臣から建築審議会に「二十一世紀を展望し、経済社会の変化に対応した新たな建築行政の在り方について」の諮問を受け(H7.11.8)、基本問題分科会で検討を重ね、次回通常国会に改正案を提出の見込みである。
1.経済社会の構造的変革と建築行政が直面する課題
    1)選択の多様性の拡大(現行は画一的傾向がある)
    2)国際協調の推進(海外基準・規格と整合が必要)
    3)安全性等の確保(品質管理や維持保全の准進)
2.建築行政が直面する課題
    1)建築基準の内容 ①仕様規定的過ぎる ②現代社会の実情に不適合 ③建築物、工作物の区別が必要
    2)建築規制制度の枠組み ①行政手続きの執行体制確保②建築主、設計、施工者等の責任分担の確立
③既存建築物のデータ整備による維持保全
3.見直しに当たっての基本的視点
    1)明確性・客観性の確保(規制の目的を明確にする)
    2)建築主の自己責任に基づく多様な選択の確保
    3)建築生産における各主体の役割の見直し(建築確認・検査等で行政と民間の役割分担を見直す)4.具体的見直しの方向と検討課題
    1)建築基準の内容 ①建築基準の性能規定化 ②規制項目の見直し ③新たな社会的要請への対応
    2)建築規制制度の枠組み ①建築主の責任の強化 ②建築士等の業務責任の明確化と工事監理制度の充実 ③検査制度の充実 ④民間組織等の活用による建築確認・検査等の合理化 ⑤違反対策の充実 ⑥維持保全に関する制度の充実。
 
《宅地擁壁・盛土の耐震設計について》

建設省建築研究所第四研究部
施工管理研究官 二木 幹夫

1.耐震対策の基本目標重要度が標準的な宅地に対しては、供用期間中に1~2度程度発生する確率を持つ一般的な地震動に際して機能に重大な支障が生じず、 特に重要度の高い宅地に対しては、発生確率は低いが直下型または海溝型巨大地震に起因するさらに高いレベルの地震動に際しても人命に重大な影響を与えない ことを基本的目標とする。
2.耐震対策検討の基本的な考え方
    開発事業においては、一般的に盛土・切土のり面、自然斜面、擁壁、排水工等の施設が多岐にわたっている場合が多い。そのため各施設について、周辺の土地 利用状況、当該開発事業区域内の土地利用計画、地域防災計画等を勘案し、耐震対策の必要性及びその範囲、また当該施設に要求される耐震目標等を具体的に検 討し、各施設を設置する箇所の原地盤や、予定している盛土材等について、必要な調査・検討を行い、所要の耐震対策を行うことが必要である。
3.耐震設計の基本的な考え方
    1)耐震設計の基本
    一般的な設計手法として、盛土のり面と擁壁に関しては震度法、地盤の液状化の検討に関しては簡易法を用いることを標準とし、地盤条件が特殊の場合には、必要に応じて動的解析法を用いる。
    2)耐震設計の一般的手順
    第1ステップ・条件設定、第2ステップ・標準的耐震計算による安定性評価、第3ステップ・動的解析法
による安定性評価、第4ステップ・対策工の検討。
    3)耐震設計方法
    震度法、修正震度法、応答変位法、動的解析法等があるが、震度法がよく用いられている。
    4)設計条件(震度法)
    ①地震荷重:設計震度 ②地盤・盛土条件:土層構成、地下水位、N値、単位体積重量、平均粒径、粒度分布、強度定数(C,φ)③盛土の形状、寸法 ④地表載荷荷重となっている。
    5)設計震度
    盛土のり面及び擁壁の安定解析では水平震度が設計震度として一般に用いられる。水平震度は地域及び地盤の特性を考慮し決定すべきものとされている。
4.擁壁の要求性能
    1)設計の基本事項
    擁壁の設計は常時、中地震時及び大地震時において想定される外力に応じで性能を満足するように行う。
    2)土圧の作用面と壁面摩擦角
    作用面は原則として、躯体コンクリート脊面とし、壁面摩擦角は土とコンクリートの場合に2φ/3を用いる。擁壁脊面が平面でない場合には仮想脊面を設定して土圧を算定する。仮想脊面は重力式、もたれ式、片持ばり式擁壁の場合により設定方法がある。
    3)土圧の算定
    擁壁に作用する土圧は裏込め地盤のモデル化や形状によって変化するので、実状にあわせて算出する。
    4)地震時土圧
    地震時土圧の算定には試行くさび法で土くさびに水平方向の地震時慣性カを作用させる方法を用いる。
5.盛土地盤の耐震性
    盛土地盤では地下水の排水を積極的に行うことが必要である。破斜面の盛土の場合にも斜面の勾配により地震時の安全率の低下割合も異なり、地盤の剛性が低下し変形の増大が懸念されるので注意が必要である。
 
《道路土工擁壁工指針について》

建設省土木研究所材料施工部
施工研究室研究員 宮武裕昭

1.指針改訂の背景現行指針は10年前(S61~62)に改訂されたもので、この間の建設事業全般にわたる種々の変化に対応すべく、6指針1要綱の中、の り面工・斜面安定工指針と擁壁・カルバート・仮説構造物工指針(今回3指針に分冊)の改訂作業が進んでおり、近々改訂版が完成する。
    改訂の背景として①複雑化多様化する社会状況、ニーズの変化に対応する内容の高度化、②新技術・新材料・新工法の普及への対応、③新たな知見一特に自然災害に対する経験の取り入れが重要なポイントである。
2.擁壁工指針改訂の概要
    第1章「総論」擁壁の定義と摘要、計画調査、設計法、荷重、材料について現在の擁壁に関するものに絞り込まれた。計画調査ではその重要性が再確認され細かい記述となった。設計法は基本的には変わっていない。荷重、材料はいずれも非常に多様化されている。
    第2章「コンクリート擁壁」擁壁の設計・施工方法について記述され、ニーズ、状況を把握してとり入れ
られた①のグループに当たる。ブロック積擁壁では実績を積んだものが必然的に入り、ニーズが高い割に実績、安全率ともバラつきのある混合擁壁については計画・設計への留意点を記述し、消極的な表現とした。
    第3章「補強土擁壁」垂直に近い壁面や軟弱地盤や山岳部に有効なため今回大きく扱われ、軽量材による土圧軽減工法とともに③のグループとして積極的に使用を進める新たな工法として記述を大幅に増加した。
    第4章「その他の特殊な擁壁」山留め式擁壁や繊維補強土擁壁等、特殊な条件の下で有効な②のグループとして、設計、施工時の留意点や考え方を記述した。
3.全般的記述の見直し
    1)他の関連する示方書・指針類との整合
    示方書と指針とでは地盤の支持力の検討方法に違いがあり問題となっていたが、今回擁壁の根入れ深さを50cmと規制したり、支持力の表をいじったことで 双方の方法での差がほとんどなくなった。擁壁の滑動に関する安全度の算定の場合に現場打ちとプレキャストではプレキャストに条件が厳しくなっていたために これを緩和して利用しやすくした。
    2)地震に関する設計の見直し
    今回の地震では擁壁の被害は少なかった。理由は①大きな加速度を起こした所に大きな擁壁がなかった。②山岳地帯の大きな擁壁では支持地盤が良かった。③土構造物はねばり強いという特性があった。
    被害は次の特定の形式、条件に集中していた。①石積(空積)擁壁、②重力式擁壁(自重抵抗型)、③地盤変動による。この三点についての対策を考えること が指針改訂への基本的な姿勢であった。また土木学会の提言や盛土、道路橋台との耐震性レベル整合を図るため、設計水平震度の検討を行った。
    3)道路防災点検に伴う維持管理への対応
    道路防災点検が変わった。点検は年に数回全国で行い、道路の個々の構造物を三つのランクに分ける。①特に対策不要、②防災カルテによる対応、③緊急に対 策が必要。①は日常の維持管理で②③は防災カルテを作る。防災カルテは規模、着目点を規定し、定量的継続的観測が行われなければならない。この方針を道路 局で実施しようとしているのに伴い、擁壁工の維持管理の記述が見直された。
    現在最終原稿が出来つつあり、今夏には改訂版が完成し、その後講習会が開かれる予定になっている。
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