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公益社団法人
全国宅地擁壁技術協会
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第2回宅地擁壁技術講習会

 

「第2回宅地擁壁技術講習会」開催される

「第2回宅地擁壁技術講習会」開催される
 
   
日時 平成8年3月11日(月)10:30~16:30
場所 アルカディア市ヶ谷(私学会館)
主催 社団法人 全国宅地擁壁技術協会
協賛 社団法人 日本宅地開発協会
社団法人 建設コンサルタンツ協会
社団法人 全国土木コンクリートブロック協会

後援 建設省  技術講習会の内容は東京理科大学工学部教授 岸田 英明氏より特別講演「宅地造成等規制法の変遷」、 建設省宅地課課長補佐 渡部文人氏より「宅地擁壁に関する法的基準について」 -宅地擁壁復旧技術マニュアルに関して-、 建設省建築指導課課長補佐 井上勝徳氏より「阪神・淡路大震災における建築物の被害とその対策」、 建設省建築研究所住宅建設研究室長 二木 幹夫氏より「宅地擁壁の設計・施行に関する基本的な考え方について」、 住宅都市整備公団工事課課長代理 渡部英二氏より「阪神・淡路大震災における宅地擁壁の被害状況について」、 と5人の講師の方々からの話を伺うことが出来ました。[参加者約260名]
   
[あいさつ]
会長 長谷川 梅太郎

昨年1月17日に阪神・淡路大震災から早や一年が経過し、 ここに尊い命をなくされた方々のご冥福をお祈り申し上げるともに被災された方々にもお見舞い申し上げる次第です。 当協会としても微力ながら、精神面、あるいは実質面においてご協力をして参りました。
本日は皆様方大変ご多忙な中、講習会にご参加いただき心からお礼を申し上げます。 昨年阪神大震災後にこの場において230名の参加を得て、第1回の技術講習会を行い、 今年は第2回目です。 今後もこの講習会は精力的に続けて参ります。 皆様方ともどもに安全でかつ技術に優れた宅地擁壁等につきましての講習を継続して参りたいと思います。
今日の講演がいろいろご参考になることが多いかと思います。 どうぞ最後までご静聴のほどよろしくお願い申しあげてご挨拶にかえさせていただきます。
   
東京理科大学工学部
教授 岸田 英明


・宅地造成工事と擁壁
1958年9月26日~28日に狩野川台風という戦後最大の台風が伊豆半島中心に襲い、 死者888名、行方不明者381名の崖くずれ、斜面の崩壊による非常に大きな災害をもたらした。 また、1961年6月24日~7月10日にかけて梅雨前線による豪雨があり、 死者302名、行方不明者55名という被害が出て、この二つのことを契機に宅地造成に関する技術的な規制の必要性が言われ始め、 作業が始まった。 それから間もない昭和36年11月7日に法律第191号として宅地造成等規制法が施行され、 ひき続き工事の技術基準に対し施行令が昭和37年1月30日に政令第16号として公布された。 (詳細は日本建築士連合会・宅地造成等規制法の解説を参照。)
   
宅地造成等規制法とは
(1)宅地造成工事規制区域の指定(法第3条)
(2)宅地造成に関する工事の許可(法第8条、令第3条)
(3)宅地造成に関する工事の技術的基準(法第9条第1項、令第4条~第16条)
第 4条(地盤):切土と盛土、地表水の流れと地盤への浸透
第 5条(擁壁):擁壁を必要とするがけ面と土質
第 6条(擁壁の構造)(イ)鉄筋コンクリート造
(ロ)無筋コンクリート造
(ハ)間知石練積み造
(ニ)その他の練積み造
第 7条(鉄筋コンクリート造等の擁壁の構造)
第 8条(練積み造の擁壁の構造):別表第四、高さ5m以下
第10条(擁壁の水抜き穴):3m2に1個水抜き穴
第15条(特殊の材料または構造による擁壁):建設大臣認定コンクリート・ブロック造、 プレキャスト鉄筋コンクリート造L型擁壁等 以上が全体のレイアウトとなっている。


・コンクリート練積み造の擁壁
法律を作った頃は空積みの石積み造が圧倒的に多かったが、 これは雨には強いが地震には弱いことが、阪神・淡路大震災でも感じられた。 また空積みの石積み造の出来る職人もいなくなったこともあり、最近では空積みの擁壁はなくなってきている。
昭和40年6月14日には次のような条件を満たすものは許可しようと、 建設省告示第1485号で示された。
(1)コンクリートブロックの4週圧縮強度:180kgf/cm2以上
(2)銅込めに用いるコンクリートの4週圧縮強度:150kgf/cm2以上
(3)コンクリートの比重:2.3以上
(4)擁壁に用いるコンクリートブロックの重量:350kgf/m2(壁面)以上
(5)擁壁の壁体の曲げ強度:15kgf/cm2以上
(6)擁壁上端の水平面上の載荷重:500kgf/m2以下
(7)擁壁前面の根入れ深さ:擁壁の高さの20/100かつ45cm以上
(8)擁壁の基礎:一体の鉄筋コンクリート造または無筋コンクリート造、擁壁のすべり及び沈下に対して安全であること。
(9)擁壁には控え壁を設けること。


・建設大臣認定擁壁の数
現在、認定擁壁は88件に及び、その内訳は次の通り。
(1)コンクリートブロック空積み造擁壁   :17件
(2)コンクリートブロック練積み造擁壁   :19件
(3)鉄筋を用いたコンクリートブロック擁壁 :6件
(4)鉄筋コンクリート造L型擁壁      :39件
(5)植栽用コンクリートブロック造擁壁   :7件
特別講演はこの他に、根入れ、基礎、水抜き穴、地盤の滑り面、 土圧論等の技術的な話があり終了しました。(講演75分)
   
建設省宅地課
課長補佐 渡部 文人


宅地造成工事等について災害防止のために必要な規制を行い、 国民の生命及び財産の保護を図り、公共福祉に寄与する目的で、 昭和36年11月7日に宅地造成等規制法が公布され翌37年2月1日より施行されている。
本法により防止しようとする災害は、崖くずれと土砂の流出による災害で、 規制対象区域は市街地または市街地になろうとする土地で、 人工が加わることにより危険を生じる区域である。
宅地造成工事の技術的基準についても詳細に定められており、建築基準法や都市計画法との関係についても知っておかなければならない点がある。
昨年の阪神・淡路の震災で5000箇所の宅地が被害を受け、 活発な復旧がなされており、その考え方の基本的な事をまとめて宅地擁壁復旧技術マニュアルが作成された。 最終的に具体的な復旧工法等についてはまとまっておらず、 更にマニュアル充実という観点からもつめていかなければならず、 適切な工法、秀でた工法があれば是非知らせていただきたい。(講演30分)


 
建設省建築指導課
課長補佐 井上 勝徳


今回の大震災で建築物の被害が莫大だったため、 建築震災調査委員会が設置され、7月28日に中間報告、12月27日に最終報告が出されている。
建築物の被害はその建築された年代と相関があり、昭和46年以前建築されたものに非常に多い。 昭和46年の建築基準法の改正で鉄筋コンクリート柱の強化を改めたため、 改正後の建築物は被害が少なかった。 中でも低層の集合住宅が最も壊われ、ピロティ形式のものに多かった。 住家被害と死者との関係を見ると、建物の被害の大きい地域に死者も多い。 建物崩壊による圧死が多かったといえる。
地震動の特徴として、エネルギーは小さかったが、 震源が浅く地表面の揺れが大きい、上下動が大きく家具の転倒が多い、 時間が短かく方向性があり南北に大きく揺れた等があげられる。 この調査で今後への対策として、既存建築物の耐震診断、改修促進制度、 体制の整備等が検討されている。(講演30分)


 
建設省建築研究所
住宅建設研究室長 二木 幹夫


・擁壁の設計
擁壁の要求される性能として、土圧を支える構造的な安全性の他、 景観的要素、生活空間としての機能性及び居住性、耐用年数(半永久的が背面地盤上の構造物と同程度か)、 経済性があげられる。
擁壁の設計における基本事項として擁壁にかかる外力をどうみるか、常時の場合には土圧、背面水圧があり、 地震時には地震力がある。 外力をクリアすると次に安定計算となる。現在の安定性の評価法には(1)滑動、 (2)転倒、(3)支持力、(4)擁壁の耐力、(5)全体系の安定があり各項目を独立評価している。
実際に破壊した擁壁を経験的に見て、チェックをして、 破壊するパターンの過程を間違えないようにすることが基本的に一番大事なことである。
 
   
・現行規則の補足
建築センターより「2mを越える擁壁に作用する中地震時の土圧に対して、擁壁が転倒、滑動せず、また、 基礎の最大接地圧力及び壁体のせん断応力度がそれぞれ地盤の短期許容支持力度及び壁材の短期許容せん断応力度を越えないこと。」 との擁壁の規定の補足が出された。
今後の地震の後、中地震時に対し擁壁の安全性、特に支持力の問題、ブロック、練積みのせん断応力度、 曲げ応力のチェックを十分に行ってほしい。


・地盤支持力の問題について
ブロック積み擁壁の降雨実験で、雨が多く降り、 鉛直荷重と水平荷重の比が増え0.5を越えてしまうと擁壁は少しずつ前に出始め、 変形がおきてくる。 透水性の良いものを使ったり、水を滑り線の外側迄抜けば、雨、地下水の影響はなくなることになる。
その他、擁壁上作用する外力としては地震時の荷重がある。 地震時土圧は作用する加速度の大きさ、方向により変化する。
滑動と支持力問題は微妙で、傾斜荷重で傾斜の角度がゆるやかなら滑りの問題、 急に立って来れば支持力の問題となり、傾斜荷重の支持力問題を検討すれば良いことになる。  いずれの場合にも、非常にむつかしい問題がからむので、扱われる時には特に注意していただきたい。 (講演60分)


   
住宅都市整備公団・工事課
課長補佐 渡部 英二


今回の被害総数は約5,000箇所以上になっており、 そのうち宅造法に基づく改善勧告がなされている約2,300箇所の中で神戸市が1、707箇所に及んでいる。 今回はこの1,707箇所を調査対象に、調査フロー図(テキスト参照)に従い調査を行い、結果が報告されている。
   
・調査結果
(1)昭和50年以降造成115団地44,937宅地中、被災3宅地
(2)昭和50年以降宅造工事実施10,732宅地中、被災4宅地
(3)昭和37~49年造成94団地35,072宅地中、被災86宅地
(4)昭和36年以前造成3団地1,342宅地中、被災54宅地
(5)昭和36年以前造成団地111,469宅地中、被災1,331宅地。
全体として被災7宅地と非常に少ない結果となる。


震度との関係を見ると、震度(7)433(25%)、(6)664(39%)、(5)610(36%)被災宅地となり、 震度階別結果を分析すると、震度(5)は7箇所(母数55,388)、(6)は母数243、(7)は母数38で少ないが被災箇所はない。
今回、造成宅地の一定区域に地盤変動が起きたが、 この区域は10%に満たない緩勾配箇所で、数十センチメートル移動し、 安全率の高い所で起きている。 宅地の安全性を保つ上で、起きた原因、発生したメカニズムをおさえて、 今後の宅地造成に反映させていくことが重要である。


・今後の課題
  1. 調査対象の宅地擁壁がほとんど震度(5)、(6)相当の区域に存在していたことから震度(7)相当の地震に対する安全性の検討をさらに進める必要がある。
  2. 宅地擁壁設置に関する基礎地盤の処理方策、 とりわけ基礎地盤の支持力確保について、更に検討を要する。
  3. 被災宅地擁壁の中に施行不良が被災原因となったものが少数とはいえあったことで確実な施行を行うための方策を検討する必要がある。
  4. 一定区域の地盤変動発生に対し、盛土のり面周辺の変状以外に盛土本体に変状が発生したと思われることから、 円弧法に基づく静的解析のみでなく、動的解析手法を用いて、盛土全体の安全性の確保方策についての検討が必要である。(講演60分)
[紙面の都合で講演内容を断片的にしかお伝えできないことをお詫びします。 なお、収録テープ・テキストが事務局に保管されていますので、ご利用いただきたいと思います。(広報委員会)]
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